
台湾でなにができるか考えてみる。(2)
前回までの話。2013年から10年間に渡って台湾との交流事業を続けてきたSHIBAURA HOUSE(以下、SH)。現地パートナーのサポートで台北に自分たちのスペースを作ることに。とはいえ、そのスペースをどのように活用していくのか。思案は続きます。
台北市内の士林にスペースを確保することはできました。士林は台北の中心部からやや北に位置していて、士林夜市で有名なエリア。観光ガイドの「グルメ」欄に必ず出てくる場所です。最近ではオランダのOMAが手掛けた「台北パフォーミングアーツセンター」(大きな球体のような劇場)の竣工が話題に。私たちのスペースは駅から徒歩7、8分程度離れた住宅街。人が常に賑わうような場所ではないので、このスペースにわざわざ足を運んでもらう理由が必要です。


▲最近できた台北パフォーミングアーツセンター。球体内部が劇場空間に。OMAらしさが存分に発揮された空間でした
◎コンセプトをまとめてみる
何度か現地に足を運び、またパートナーであるAlifeのジャスティンとの話し合いを通して、スペース運営のコンセプトをこんなふうに整理してみました。
・これまでにないユニークな視点で日本を紹介するコンテンツをつくること
・日本と台湾のコラボレーションを生み出すこと
・誰もが来られるよう、あまりニッチになりすぎないこと
「ユニークな視点」というのは私たちにしかできないような切り口や方法でテーマを表現すること。ジャスティンが言うには日本文化を紹介するプラットフォームはいくつかあっても、優れたコンテンツ自体は不足している。台湾には日本の観光スポットや、食文化などが紹介されるメディアやイベントが多くありますが、それ以外の文脈となるとすぐには頭に浮かんでこない。実は知っているようで知らないものがたくさんある気がします。私たちはそうした領域に目をつけてみようと思います。
ふたつめの「日本と台湾のコラボレーション」は台北のスペースのミッションともいえる部分。日本のことを紹介するだけではなく、その先の可能性を台湾の人たちと一緒に探求すること。実際に私たちが台北にリアルスペースをもつことによって、今までの交流よりももっと頻繁に、深い繋がりをもつようにしたい。今回のプロジェクトの軸ともいえます。
最後の「ニッチになりすぎないこと」。これはジャスティンからのアドバイス。彼が言うには、台北には洗練されたアート・デザイン系のショップやカフェがいくつかある。ただそこに足を運ぶ人たちは一部に限られてしまう。士林というロケーションを考えると、近くに住む人たちでも気軽に来られるような場所にしたほうが良いと。これはたしかにそうかもしれない。


▲写真上:上階にあるシェアキッチン。ここを使って料理もできる。少人数の料理教室ができるくらい整っている 写真下: スペースのすぐ隣にある小さなDIYショップ。内装は自分たちでやることになるので、このようなお店があるのはとても便利
そういった条件を加味しながら、具体的なスペースの運営方法、そしてコンテンツをジャスティンやSHスタッフと相談。次第に運営方針が見えてきました。現時点でクリアにしたのは、日本と台湾に共通する社会課題に関するリサーチ活動を軸に、そこからのアウトプットとして空間展示を行うプランです。さらに誰もが参加したくなるような楽しいイベントを織り込むことによって、スペースへの来場を促します。最終的には日台のコラボレーションを通して、ピックアップした社会課題に対する提案を行うことを目標にします。
すでにこけら落としとなる企画のトピックは決定。リサーチを経て、コンテンツ作りを急ピッチで進めています。士林のスペースは11月にオープンする予定に。バタバタと準備は続きます。(はたして間に合うのか)
伊東 勝 / Masaru Ito
SHIBAURA HOUSEの代表。あまり経営に向いていない性格を自覚しています。3歳からヤクルト・スワローズを応援しています。
