
Step1 | 人生を変える観光(旅)
*次の質問に答えながら、私たちと一緒に「観光」について考えましょう!
① あなたの人生に大きな影響を与えた観光(旅)はありますか?それはどんな体験でしたか?
② そのほかに、観光(旅)を通して自分自身あるいは地域社会に変化を感じたことはありますか?
まずは少しアカデミックな視点から、「観光」という言葉の定義をたどってみます。
世界観光機関(World Tourism Organization)によれば、「観光」とは「連続して1年を超えない期間で、レジャー、ビジネス、その他の目的で日常生活圏外の場所を訪れ、そこで滞在する人々の諸活動」と定められています。
つまり、観光とは日常を一時的に離れ、非日常を体験する営みです。この点から、観光には「移行的(トランジショナル)」な性質があると捉えることもできるかもしれません。
この「移行」という視点をもう少し深く掘りしてみると、人類学者アーノルド・ヴァン・ジェネップの『通過儀礼(The Rites of Passage)』が思い出されます。彼は人生の節目における儀式を「分離」「移行」「再統合」という3つの段階に分けて説明しました。

本来は、結婚や卒業、死といった儀式に用いられてきた考え方ですが、この枠組みは観光(旅)のプロセスにも当てはめることができます。つまり、日常から離れることが「分離」、旅先での体験が「移行」、そして元の生活へと戻ることが「再統合」にあたります。
このように、観光(旅)は単なる移動ではなく、私たちの内面に変化をもたらすプロセスとして捉えることができるのです。
人が動けば社会も動く
さらに、観光には「個人的な儀式」としての側面だけでなく、社会的影響力もあります。
国際観光協会によると、2024年の観光産業は世界のGDPの約10%、およそ11.1兆ドルに達すると予測されています。経済的な影響はもちろんのこと、人の流入が地域コミュニティのあり方や暮らしそのものにも変化を及ぼします。
その中には、ポジティブな影響だけではなく、課題を生むことも。例えば、「世界でいちばん美しいコンビニ」として話題になった山梨県・富士河口湖町のローソンには、多くの観光客が訪れ、路上駐車やごみ、騒音といった問題が起きました。
観光によって人やものの流れが活発になることには、地元の暮らしや環境に支障が出たり、訪れる人が多すぎて「その場所らしさ」が失われてしまうこともあるのです。

観光(旅)によって影響する個人的・社会的な要素
観光は、非日常的な環境の中で個人の内面に変化をもたらすと同時に、人の移動を通じて社会や地域にも変化を引き起こします。つまり、観光には「個人の変容」と「社会的変化」という二つの側面が同時に存在しているのです。
こうした背景を踏まえると、私たちが注目している本質は、「人が(物理的に)移動すること」そのもののもつ影響力なのかもしれないと感じます。移動は、個人と社会の両方を揺さぶり、変化させる可能性をもちます。私たちは、その変化を、より意図的に、より創造的に引き起こすことはできるでしょうか。
ここから、さらに観光(旅)の現状と理想的な形を考えていきたいと思います。
Step2 : なぞる観光から、足跡を残す観光へ↗︎
(リサーチチーム : 伊東勝 / 鄭伃倢 / シャン / ハッチ )
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