運営と建物についてのよくある質問

国内外から毎日のように見学者が訪れてくれるSHIBAURA HOUSE。その際に寄せられる定番のご質問について、代表の伊東がお答えします。見学時の補足資料としてご覧ください。

Q. SHIBAURA HOUSEとはなんですか?

2011年に竣工した、私たちの会社の社屋兼コミュニティスペースです。「社員と地域の人たちが使うひとつの家」をコンセプトに運営しています。 1-2Fは誰もが無料で使える公園のような場所、3Fはスタッフ用のオフィス、4Fは宿泊施設、5Fはイベントスペースです。建築の設計は妹島和世さん、構造は佐々木睦朗さんが手掛けています。施工は清水建設です。ときどき誤解されることがありますが、ここは妹島和世建築設計事務所による設計で、西沢立衛さんと協働される「SANAA」としてではありません。

Q. そもそも、なんの会社ですか?

SHIBAURA HOUSEに建て替えるまでは、1952年創業の製版会社(新聞・雑誌広告の版下を作成する会社)として運営していました。主な顧客はトヨタ、アサヒビールでした。時代と共に製版のニーズは減少していきましたが、いまでもわずかに残っています。現在は製版に加え、さまざまな事業に取り組んでいます。

▲同じ敷地に建っていた以前の社屋。屋上にはゴルフの練習用のネットがありました(写真: Forward Stroke  Inc)

Q. なぜSHIBAURA HOUSEをつくったのですか?

父親が経営していた会社を引き継ぐことになった時期(2008年頃)には製版の需要はすでに減退。先が見えていました。そこで会社として存続できる新しい可能性を模索する必要がありました。一方、当時の芝浦には働くひと、暮らすひとが急激に増えてきましたが、みんなが気軽に集えるようなコミュニティや場所が見当たりませんでした。自分としては「これだけ多くの人がいるのにお互いを知らない状況」に違和感を感じていました。そこで思い切って私たちの社屋を建て替え、公園のようなスペースをつくったら、人々のつながりが生まれるのではないかと考えました(ひとが集まる場をつくれば何かしらの仕事も生まれるという楽観的な発想もありました)

Q. なぜ妹島さんに設計をお願いしたのですか?

自分が学生の頃、妹島さんが設計した建築(岐阜・IAMASのマルチメディア工房)を見たことがきっかけです。いまから26年も前のことでしたが、「これまでにない、新しい建築をつくるひとが現れた」と強く印象に残りました。以来、いつか妹島さんに設計をお願いしたいと思うようになりました。

Q. 運営として苦労したことはなんですか?

SHIBAURA HOUSEをスタートして、「1Fはフリースペースです。みなさん自由にご利用ください」と謳ったものの、(半ば気味悪がって?)誰も使ってくれなかったことです。その状態が半年くらい続きました。当時は社屋を開放するという概念がほとんどなかったので、今になってみればそれも当然だったと思います。

Q. どうやって運営しているんですか?(= お金を稼いでいるんですか)

社内のデザインチームによるメーカー向けの仕事や、建物を活かしたスペースレンタルによって収益を得ています。レンタルに関しては、海外の大学のベースキャンプとしての利用、さらには建築家グループによる展示利用が年々増加しています。文化的な事業は(赤字にならないよう)行政からの業務委託、オランダやオーストリアをはじめとした海外の大使館からのサポートで賄っています。

▲ 3Fできちんと働く人たち

Q. ここで働いているスタッフは何名ですか?

アルバイトも含めて18名くらいです。近所に住むスタッフも数名います。

Q. 設計時に参考にした建築はありますか?

"ひとのつながりを誘発する空間"という点では、スイスにある家具メーカー、Vitra社の社員用オフィスです。大きな平屋のなかにさまざまな機能が散りばめられ、ミニュチュアサイズの村があるようなつくりでした。一方、公共的な運営についてはアメリカ・シアトルの中央図書館(設計はOMA)が参考になりました。建築も面白かったのですが、それ以上に、移民の人たちに英語を教えて社会に溶け込ませるなど、当時の日本では考えられない踏み込んだプログラムがあることに感銘を受けました。

Q. 海外にも似たようなスペースはありますか?

海外からやってくるゲスト(とくに都市計画や建築、アーティスト)にその質問をぶつけることがありますが、「こういうのはない」「この規模のものは知らない」と言われることがほとんどです。運営としてのスタンスはもとより、海外で「誰でも入れるスペース」を運営するには治安の問題が大きく関係するようです。もしどこかご存知でしたら教えてください。

Q. エアコンなどで電気代がかかるのでは?

空調効率が良いので意外に平均的な金額で収まっています。ただし冬の1Fは足元が冷えます。

Q. なぜ4Fを宿泊施設にしたのですか?

もともと4Fはスタッフが使うオフィスでしたが、コロナ以降、多くのスタッフの働き方をリモートに切り替えました。その結果、オフィスとしての稼働率が大幅に低下しました。一方で周囲のホテルの宿泊料が軒並み高騰。地方や海外の文化関係者がSHIBAURA HOUSEでイベントを行う際、宿泊先探しで苦労するようになりました。そのような状況を踏まえて、4Fを宿泊施設にリノベーションすることにしました。

Q. フリースペースでおかしなことは起こりませんか?

自分が知る限り、開館以来、大きな事件・事故は起きていません。

▲1Fのいつもの風景。どなたでも自由に使うことができます

Q. いつも1Fにいるおばあちゃんは誰ですか?

毎日のように1Fで座っているのは、としこさんです。朝から夕方までSHIBAURA HOUSEで過ごしています。としこさんは隣に建つ山本ビルのオーナーであり、地域の顔役でもあります。いつも睨みをきかせていて怖そうですが、本当はとても優しいひとです。スタッフに食べ物の差し入れをしてくれたり、一緒にお酒を飲んだりしています。みんなのおばあちゃんのような存在です。

伊東 勝 / Masaru Ito

SHIBAURA HOUSEの代表。あまり経営に向いていない性格を自覚しています。3歳からヤクルト・スワローズを応援しています。

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