
農家が直面した猛暑の夏
厳しい日照りが続き、降水量も少なかった今年の夏
今回は東京の農家をめぐるお話。
異常とも言える暑さが続いたこの夏。「日ようのマルシェ」でSHIBAURA HOUSEが提携する東京・青梅の4つの農家にとっても、大きな影響がありました。先日、現地の状況を知るために、農家のみなさんにオンラインで話を伺いました。

▲日照りによって傷んでしまったネギ
◎野菜の収穫量は例年の7-8割
「そもそも夏の野菜は難しい。梅雨明けしてから台風が来ない場合はずっと晴れている季節。雨が降らないと本当に厳しい。今年は夕立ちもなく、都心で雨が降っていても青梅は降らないこともあった」と繁昌さん。
夏はキュウリやししとう、ピーマン、ナスなど、果菜類(かさいるい)と呼ばれる実のなる野菜が中心。実の部分が水分を蓄えるため、水分不足は野菜の出来に直結します。ナスを例に挙げれば、実の水分を蒸散させないようにするため、皮が固くなり、食感自体も変わってしまうとのこと。また日照りによって実が焼けてしまい、出荷できない野菜も多くあったそうです。

▲lala farm tableの奥薗さんの畑
ララ・ファームテーブルの奥薗さんは「もともとはアフリカがルーツのオクラでさえ、ダメになってしまいました。これからは夏に路地で野菜を育てること自体が難しくなるのでは」と言います。さらにビニールハウスでの栽培について尋ねたところ、「ハウスで育てた野菜は無事に出荷できました。ただし今後、簡単にハウスに比重を移せばいいとは言えないんです。ハウスは室内の管理の手間や電気代も多くかかります」。
夫婦で農業を営む清水さんも次のように打ち明けてくれました。「正直、7月下旬から8月いっぱいにかけてはかなり厳しかったです。たとえば、いつもはタネを直播きしている枝豆が、今年はほとんど芽が出ませんでした。これは普通の状況ではないと思いました」
野菜の収穫量自体は農家によって異なりますが、例年の半分から7、8割程度。収穫量がそのまま収益性に繋がるため、相当の我慢が強いられた夏になったようです。

▲清水農園のお二人。予測の立たない日々の中、試行錯誤が続きます
◎秋冬への備えと期待
はらぺこ農園の川崎さんは夏の日照りで傷んでしまったナスを200本程度、自らの手で処分したと言います。「この夏の厳しさは仕方ない。早めに切り替えて冬野菜の準備に取り組みたい」
それぞれの農家は今夏の厳しさを受け止めながら、すでに秋冬への準備を始めています。一般的に秋冬は気象条件のリスクが少ない季節。また虫もあまりつかないため、野菜を育てやすいと言われます。しかし今年は異常なまでの暑さによって、夏のうちに秋冬野菜の苗がうまく準備できないことを不安視する声もありました。

▲秋の収穫を待つ里芋
さらに生産単価について興味深いお話も伺いました。冬の根菜類は、収穫量が増えたとしても単価は低い。夏の葉物は同じ苗から何度か収穫できるものの、冬の大根などは一度収穫してしまえばそれで終了。畑の使用面積と生産単価で考えれば、収穫量と収益性が必ずしも比例しないことを教えてもらいました。
みなさんからのお話を伺って、農家が抱える様々な問題を改めて知ることになりました。現在、SHIBAURA HOUSEでは月2回のペースで「日ようのマルシェ」を開催。今回の4農家が無農薬で栽培した野菜を販売しています。農家と消費者の距離を縮めて、理想的な関係性を築くのが私たちの役割です。今後は農家を取り囲む状況をサポートするためにCSA(事前支払いによる野菜の定期購入)を再開する予定です。
*お話を伺った農家のみなさんについて
繁昌農園
lala farm table
はらぺこ農園
清水農園
伊東 勝 / Masaru Ito
SHIBAURA HOUSEの代表。あまり経営に向いていない性格を自覚しています。3歳からヤクルト・スワローズを応援しています。
