
みんなで話す。「コモングラウンド」とその後で
昨年開催された大阪・関西万博。オランダ大使館がテーマとして掲げたのは、多様な人たちが共創し、新たな可能性を生む土壌となる「コモングラウンド」。万博会場で開催された『Bridging Past & Future(過去と未来のあいだに橋を)』が東京に巡回するにあたり、SHIBAURA HOUSEとしてスピンオフイベントを企画。参加者のひとりとして、ダンサーの松岡大さんを迎え、日本社会における「コモングラウンド」のありかたをみなさんと共に考察します。
万博という晴れやかな場で提示された「コモングラウンド」。その素晴らしい理念に理解を示しつつも、私たちが日々暮らしている社会に目を向けると、実現に向けて乗り越えるべき課題が山ほどあることにも気付かされます。
たとえば他者を攻撃することによって人々の注目を集めるような一部の人たちによる言動。人々を協調させるよりも、対立させるような情報が数多く降り注ぐSNSの世界。さらには人口減少や社会保障をはじめとして、将来的に多くの不安要素を抱える社会構造。残念ながら、いまの日本社会では、明るい未来を描くよりも、暗いディストピアを想像する方が容易いのかもしれません。
”理想のプロトタイプ”
崩れゆく社会のなかで、人々のつながりと協働を促す「コモングラウンド」が必要であることに疑いはありません。しかし誤解を恐れずに言えば、私たち文化関係者が語る/関わる「万博」「コモングラウンド」というものは、一種の”理想のプロトタイプ”であり、とても限定的なもの。
実際の社会においては、そうした「コモングラウンド」がカバーできない人々や空間の方がはるかに大きなウェイトを占めているのは明らかです。プロトタイプが確かなリアリティをもって社会に根付くにはまだまだ多くの時間が掛かるように思えます。
松岡さんを交えてみんなで話す
今回の企画では参加者と共に「コモングラウンド」をめぐるさまざまな対話を行います。そのための"導入役"に、オランダ大使館の万博公式プログラム「UNUM」の共同振付を担当した松岡大さんを参加者のひとりとしてお招きします。

▲ 大阪・関西万博の会場で披露されたパフォーマンス
「松岡さんは「UNUM」のみならず、日頃から障がい者や高齢者たちと共にダンス作品を制作・発表するインクルーシブダンスの普及に取り組んでいます。今回のようにスポットを浴びる機会が増える一方で、次のように言います。
"日本ではまだまだこのジャンルの普及は簡単ではありません。インクルーシブダンスは、福祉的な意義と文化芸術としての価値を横断しながら、参加する一人ひとりの主体性(Ownership)を創作の中心に据える社会的実践です。そのため、新たな評価のあり方を模索し続ける分野でもあり、その試みは、異なる価値観を持つ人々がともに価値基準をつくり直していく「コモングラウンド」の可能性とも深くつながっています"

▲ 当日はカジュアルな雰囲気で対話できる会場を用意
松岡さんがそのように語る背景に何があるのか。それは果たしてインクルーシブダンスの世界だけのことなのか。当日はカジュアルな雰囲気で、参加者のみなさんからの視点や意見を伺いながら、いまの社会と「コモングラウンド」について見つめてみようと思います。ジャンルや立場を問わず、さまざまな方々のご参加をお待ちしています。
松岡大 | 参加者
舞踏家。NPO法人LAND FES 代表。上智大学卒業。桑沢デザイン研究所卒業。
2005年より山海塾に舞踏手として参加。「金柑少年」「卵熱」「かげみ」「とばり」「ARC」「TOTEM」などの主要作品に出演中。2011年より、街を歩きながらミュージシャンとダンサーによるパフォーマンスを鑑賞する「LAND FES」を主宰。2018年より小田原市にて、障がいの有無を越えて共にダンスを創る「スクランブル・ダンスプロジェクト」で講師を務める。神奈川県共生共創事業映像作品「いま、生まれたばかり」演出ならびに出演。
大阪・関西万博では、オランダのダンスカンパニー「INTRODANS」とのコラボレーション作品「UNUM」の振付・演出を担当。現代アーティストのJim Hodgesの展示に出演する他、NYのシアターカンパニーPhantom Limb Company「Falling Out」、作曲家Paola Prestini「Houses of Zodiac」に出演するなど、海外アーティストとのコラボレーションも多数。Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13 「Tokyo Real Underground」キュレーター。ライフキネティック®公認トレーナー。
伊東 勝 | 進行
京都芸術大学大学院修士課程メディアアート分野修了。現在は株式会社 SHIBAURA HOUSE 代表取締役。2011 年、父から引き継いだ製版会社の社屋を建て替え、SHIBAURA HOUSEとしてリニューアル。建築家の妹島和世さんによって設計された社屋の一部を開放し、地域に暮らす人たちのコミュニティスペースとして運営している。
開催概要
イベント | みんなで話す。「コモングラウンド」とその後で
日時 | 2026年 2月18日(水)
開館時間 | 19:00~21:00
会場 | SHIBAURA HOUSE
参加費 | 無料
定員 | 4~10名くらい
申込み | Peatixから(https://commongroundafter1.peatix.com)
主催 | SHIBAURA HOUSE
協力 | 駐日オランダ王国大使館
写真: UNUM Photo by Daisuke Uzunami
SHIBAURA HOUSE
