
[10/14|トークイベント]コミュニティベースド・アートを越えて
SHIBAURA HOUSEの1Fでは、美術家・北澤潤さんによる「Fragile Gift Week!」がスタートしています(10/1〜10/16)。
10月14日(水)には、関連プログラムとして、北澤潤さんとキュレーターのレオナルド・バルトロメウスさんを迎えたトークイベント「コミュニティベースド・アートを越えて」を開催します。
当日は北澤氏自身による「フラジャイル・ギフト」プロジェクトの解説、後半には地域に根ざしたアートプロジェクトがいかにしてその土地を越えた普遍性を獲得しうるのかを議論します。
Cover photo: Aditya Putra Nurfaizi
地域から始まり、地域を越えるアートとは
作家の池澤夏樹は昨年の会見で次のように語りました。「作家の社会的関心が薄れている。戦争を含めた歴史を背負い込むことがなく、大きな物語が現れなくなった」。加えて「本来社会的な問題であるはずのものが、個人の問題として内在化され、自己責任として片付けられている」とも述べています。

Photo: Henry Wu
混沌とし、複雑さを増しつつある今日の世界。政治的、地域的な衝突が絶えず発生し、それを伝える情報は瞬時に世界を駆け巡ります。その一方、激しく揺れ動く社会の全体像を掴むことは作家やアーティストのみならず、誰にとっても容易いことではありません。加えて、誰もが誰かに見られ、批判されうる日常のなかで、歴史問題を含めた社会的メッセージを伴う作品をアーティストが発表することは、以前にも増して重い責任と覚悟が求められます。
その結果、ともすればアーティストは社会状況とは一定の距離を置く、ささやかで極私的な世界を写し取るような作品制作に向かってしまう。無論、それ自体は否定されるものではなく、個々にとってかけがえのない価値をもつでしょう。しかしアートといえるものには、そこにとどまらず社会全体に訴えるような、より大きな物語 ―さまざまな土地や記憶を結びつけ、創造的に昇華する物語をつくることができると、私たちは信じたいのです。
「フラジャイル・ギフト」はまさにそのような試みといえます。北澤潤はここ数年間、インドネシア(2021)、台湾(2023)、そして日本(2026)と、それぞれの土地で地域の人々と関係を築きながらプロジェクトを展開してきました。いずれの場所においても、その背後には戦時中に日本が引き起こした複雑な歴史が横たわります。それはうかつには手を出すことができない、きわめてセンシティブな類のものです。
しかし戦後80年を経て、戦闘機から凧に姿を変えた「隼」は、各々の土地や人々の脳裏に刻まれた痕跡を呼び起こしながらも、対立ではなく、対話と協働によって、まだ見ぬ着地点を求めて飛び立つのです。そこでは文字通り、柔らかく壊れやすい「フラジャイル・ギフト」が固定化された対立軸を解体し、変容させる触媒として機能します。
今回のトークイベントの会場には離陸を数日後に控えた「隼」が駐機しています。当日は「フラジャイル・ギフト」を間近に眺めながら、いまの社会とアートの行方について考える機会としたいと思います。
◎登壇者プロフィール
[ゲスト]
北澤潤
美術家。1988年東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。国内外のさまざまな地域で中長期的なフィールドワークを行いながら、多様な人びとと協働する「コミュニティ・スペシフィック」なアートプロジェクトを実践。2016〜17年、国際交流基金アジアセンターのフェローシップでインドネシアに1年間滞在。以降インドネシアを拠点に活動を続ける。
レオナルド・バルトロメウス(Leonhard Bartolomeus)
山口情報芸術センター[YCAM]キュレーター。インドネシアのアート・コレクティブ「ルアンルパ」メンバーとして、ドクメンタ15などの国際的なプロジェクトにも携わる。
[モデレーター]
伊東 勝
SHIBAURA HOUSE & Cultural Embassy代表。京都造形芸術大学大学院メディアアート学科修士課程修了。
◎開催概要
「コミュニティベースド・アートを越えて」
・日時 | 10/14(水)19:30-21:00
・会場 |SHIBAURA HOUSE 1F
・参加 |1,500円
*トーク終了後にはキャッシュオン形式での懇親会も用意しています
◎参加申込み
以下リンク先よりお申込みください。
SHIBAURA HOUSE
