映画『海でなくてどこに』上映会-元ユダヤ難民の出演者ご本人を囲んで- - SHIBAURA HOUSE
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お知らせ

映画『海でなくてどこに』上映会-元ユダヤ難民の出演者ご本人を囲んで-

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SHIBAURA HOUSEはマリルカ・プロジェクトと共同で、第二次大戦期に日本にユダヤ難民として滞在したマーセル・ウェイランド氏の来日を記念して、世界のユダヤ映画祭で話題となったドキュメンタリー映画『海でなくてどこに』の東京では初となる上映会をシアター・イメージフォーラムで開催します。

戦時期の日本とユダヤ難民の物語が交錯する
マリア・カム(1920−2019)と弟のマーセル・ウェイランド(1927年−)は、1939年9月、ナチスによるポーランド侵攻にともない、家族とともに故郷であるポーランドのウッチを離れ、未知への旅に出た。1年数か月のリトアニア滞在後、当時在リトアニア日本領事館で外交官・杉原千畝が発給した日本通過ヴィザを手に、シベリア横断鉄道でウラジオストックへ。そしてそこから日本の蒸気船「天草丸」に乗り、敦賀に上陸した。神戸で7か月を過ごしたのち、日本占領期の上海へ。最終的な安住の地は、オーストラリアのシドニーとメルボルンだった。


マリア・カム


マーセル・ウェイランド

歴史とアートの融合プロジェクト「マリルカプロジェクト」
この映画は、ユダヤ史と難民研究を専門としてきた東京理科大学の菅野賢治教授が、オーストラリア・メルボルンで第二次大戦期のジェノサイドを逃れた元ユダヤ難民、マリアと出逢ったことをきっかけにスタートした「マリルカプロジェクト」の中で制作されました。難民の視点から「asylum(亡命、避難)」の本質的意味を考える、歴史とアートの融合プロジェクトとして、菅野氏と共に気鋭のドキュメンタリー映画監督・大澤未来氏が世界各地で数々の資料調査と実地調査を行ってきました。姉弟の生き残りをかけた旅の軌跡をたどりながら、それぞれの場所に遺る日本と中国からの視点を織り交ぜ、新たな光を当てた作品です。

また、プロジェクトの趣旨に賛同して、日本にも多くのファンを持つ東ドイツ出身の作曲家ヘニング・シュミート氏が美しくも儚い音楽を作曲。オーストラリアの実験アニメ作家レイチェル・ウォルズがアニメーションを制作。世界的に活躍する現代アーティスト宮森敬子氏が美術を担当するなど、国境を越えたコラボレーションが結晶した作品となり、世界最大のユダヤ映画祭「ユダヤ国際映画祭inオーストラリア」や「マイアミ・ユダヤ映画祭」で公式上映され話題となりました。

上映後のアフタートークには、戦後はじめて、82年ぶりとなる念願の来日を果たす主人公のマーセル・ウェイランド氏(95歳)も登壇し、ユダヤ難民の数奇な運命を語ります。今なお戦禍が繰り返される「難民の時代」を深く考える機会となります。ぜひ、この貴重な機会にご参加ください。

どこから逃げようとしてるのかはわかっていたけれども、
どこに行くのかはまったくわからなかった
マーセル・ウェイランド

◎予告編


◎『海でなくてどこに(Where but into the sea)』2021年/72分
日本語、英語、中国語、イディッシュ語(日本語字幕あり)
〈企画・調査研究・歴史考証〉菅野賢治
〈監督・撮影・編集〉大澤未来
〈音楽〉ヘニング・シュミート
〈アニメーション〉レイチェル・ウォルズ
〈美術・デザイン〉宮森敬子
〈コーディネート〉小畑美史
〈プロデュース〉関口清

◎イベント詳細
日時 : 2023年2月28日(火)
開場18:50/上映時間:19:00-21:00(上映72分・アフタートーク30分)
会場 : イメージフォーラム シアター1
〒150-0002東京都渋谷区渋谷2-10-2
席数:64席(1階|車椅子○)
アフタートーク登壇者 : マーセル・ウェイランド、大澤未来、菅野賢治

チケット : 一律1,500円(税込)
・オンライン予約の場合=2/25(土)午前0時よりシアター・イメージフォーラムのオンラインチケット購入サイトより販売開始
・劇場窓口の場合=2/25(土)午前10時30分よりシアター・イメージフォーラムの劇場窓口にて販売開始(購入は映画館の営業時間中に限ります)
・当日予約枠に余裕があれば、予約なしでもご入場いただけます。

購入方法:シアター・イメージフォーラム オンラインチケット購入
http://www.imageforum-reserve.jp/imfr/schedule/

※当オンラインでご予約された方は当日劇場のロビーにて発券手続きが必要です。開演時間間際は大変混雑しますので余裕を持ってご来場ください。

共催:マリルカ・プロジェクト、SHIBAURA HOUSE
協力:駐日オランダ王国大使館
※ウェイラント氏ご自身がご高齢であることを考慮し、内容を変更する場合があります。
※マリルカプロジェクト HP https://marylka-project.com/


登壇者プロフィール

◎マーセル・ウェイランド(Marcel Weyland、ポーランド名マルツェル) 
1927年、マリア(Maria)の弟として生まれる。建築家、およびポーランド語で書かれた詩の翻訳家。12歳の少年だった1939年の夏、ナチスの迫害から逃れるため家族と共に故郷を離れ、リトアニアのヴィルニュス(Vilnius)、神戸、上海など住む場所を転々としながらも各地の学校で学び続けた。いわゆる「杉原ヴィザ」のリストには第861番に父 Michal Wejlandのポーランド名が残されており、マーセルは杉原千畝を「われわれの人生における英雄」と讃えている。

◎菅野賢治(企画・調査研究・歴史考証) 
東京理科大学・理工学部・教養(フランス語)教授。専門:フランス語圏文化研究、ユダヤ研究、難民研究。パリ第10ナンテール大学でフランス文学博士号を取得。主な著書に『ドレフュス事件のなかの科学』(青土社、2002年)、『ユダヤ教、キリスト教、イスラームは共存できるか』(共著、同志社大学一神教学際センター編、2008年)、『フランス・ユダヤの歴史』(上下巻、慶應大学出版会、2016年)『「命のヴィザ」言説の虚構 リトアニアのユダヤ難民に何があったのか?』(共和国、2021年) 。訳書に、レオン・ポリアコフ『反ユダヤ主義の歴史』(全五巻、筑摩書房、2005~07年)、ヤコヴ・ラブキン『トーラーの名において』(平凡社、2010年)、アーノルド・ゼイブル『カフェ・シェヘラザード』(共和国、2020年)ほか。

◎大澤未来(監督・撮影・編集)
映画美学校在学中よりドキュメンタリー映像の制作を始め、在学中に監督として制作した「帰郷 −小川紳介と過ごした日々−」は山形国際ドキュメンタリー映画祭2005上映作品に選出される。東日本大震災の被災地を古くから巡業する神楽集団を通して自然災害と宗教と人間の関係性を描く劇場初公開作「廻り神楽」(共同監督/2017年)で第73回毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞、キネマ旬報文化映画2017ベストテンを受賞。ドイツ・フランクフルトの日本映画祭「ニッポンコネクション2019」でも上映。近年は美術作家として、マルチプロジェクション&サラウンド作品『彼らからの視線』(八戸市美術館/2021)、土谷享(Kosuge1-16)とガスパール・クエンツとのアーティストコレクティブとして映像と立体作品を組み合わせた『BE WATER』(富山県美術館/2022)を発表している。