妹島和世さんと振り返る、建築と運営の9年間 - SHIBAURA HOUSE - Page 3
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妹島和世さんと振り返る、建築と運営の9年間

周りの環境や時間と付き合っていく建築のあり方

I:SHIBAURA HOUSEの9年間のことを先ほどお話ししました。妹島さんは建築の分野で国内の動きのみならず、海外の建築家の意識や動向を目の当たりにされていると思いますが、何か動きを感じることはありますか?

S:ある時から、建物を建てる時に土とかその土地の材料を使って作ってみようという動きが始まった気がします。私自身としては、どういうものが省エネルギーやサスティナブルか、アジアから発信していきたいと思っています。もう10〜20年前ぐらいから国際コンペでは「エネルギーを考えなさい」という項目があります。

例えば、ガラスを入れる場合はトリプルレイヤーになっていて、とても分厚くなります。建物の中だけではロスしないかもしれないけど、これを作って施工される間にどれだけのエネルギーを使っているんだろう、と疑問を持ってしまって。

北ヨーロッパの論理で作られた省エネルギーに対して、アジアでは工程も含めて全体でサスティナブルになるような仕組みを論理的に組み立てたい。そういう意味では一定の視点に捉われずに、自分たちの暮らしている世界から考えてみたい。

建築は更新されていくもの

I:以前ヨーロッパの建築家と、妹島さんの建築がどうしてヨーロッパで評価されるのかという話になって、まさにそのことをおっしゃっていましたね。多くの建築は内と外を分けて考えていて、中はエアコンだけれども、外に対しては熱を逆に放射している。でも妹島さんの設計の場合は、周りの環境を取り込んでいくというか、うまく付き合っていくようなやり方。ヨーロッパの人にとってそれは今までにない考え方なので、新鮮に映るんだよと言っていたのを今でも覚えています。一方、国内の建築はどんな状況ですか?

S:若い人たちにとっては、新しく建てる時代ではなくなって、あるものを使いながらどう工夫していくか、という視点になってきていると思いますね。ただ、あるものを使うけれども、その上で新しいものになるべきだと私は思います。例えばSHIBAURA HOUSEを20年後作り変えるとして、その時関わる人はどこか壊してどこか新しいところを作る。建築は、更新されていくものだと思うようになりました。

それは人の手によってだけでなく、その場所の状況などにも影響を受ける。私が建てたものはたまたま新築に見えるかもしれないけれど、元々はコンクリートの建物があって、それまでお父様の会社でやってきたことを受け継いでいます。建物そのものでなくても運河が見えるとか、道路や周りの建物との関係性も。今までの時間の積み重ねがあって今があるので、さらにその上に力強い新しいものが出てくれば良いなと思っています。