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OPEN!FURNITURE

OPEN!FURNIUTRE 2019

家具から生まれる小さなパブリック

 OPEN! FURNITURE(オープン! ファニチャー)は、街歩きや家具の制作、アートイベントなどを通して、港区のパブリックスペースの新しい可能性を発見するプロジェクトです。2019年度は区内のコミュニティスペースや神社、個人商店などと連携。まちの中を舞台としながら、それぞれのスペースで誰でも使える家具を製作しました。「OPEN! FURNITURE」は家具をコミュニケーションツールとして、さまざまな人達が集う場所をつくることをコンセプトにしています。

三田エリアにベンチを設置した八百新さん。冬はこのスペースで焼き芋を販売するそう。

 2018年度に行った運河沿いのプロジェクトを進めていくうちに、まちのいたるところに、公共的に使える隙間や余白のような場所が存在していることに目が向くようになりました。まちの人も「こんな風に使えれば良いのに」「新しいコミュニティやこんな活動ができるのではないか」という思いはあるものの、実際にはどのようにそこに至れば良いかわからないという声もあります。

 2019年の「OPEN!FURNITURE」では、昨年の運河で行ったプロジェクトと同様に、家具の活用を続けながら、新たな拠点を発見し、公共的に使えるベンチを様々な場所に設置していくプロジェクトを行うことにしました。また市民の方々と一から一緒に進めていくことで、彼ら自身がまちに関わることに対する気持ちや誇りを醸成していくことも、プロジェクトの一つの意義としています。

OPEN CALL[9.13]

 連続的にベンチを配置することで、よりまちの変化を認識できるよう、芝浦エリアと三田エリアを中心にリサーチ。屋外に設置する家具の日常的な管理と、自分たちだけのためではなく公共的にも使用できるよう設置することを条件に、協力先を募りました。手を挙げてくれたのは、神社や個人商店やコミュニティスペース、地域包括センター、私有地の一部など。全12箇所の協力先と、その場所を普段利用する人にヒアリングを行いながら、設置場所やデザイン・寸法などを決めていきました。

三田にあるIROHA CAFE。床の傾斜に合わせて家具の設計を調整しているところ

WORKSHOP[10.19]

プロジェクトの主旨や大切にしていることを伝えるとともに、石巻工房の千葉さんのレクチャーのもと、市民参加型で各協力先の家具を組み立てました。参加者同士3-4人のチームに分かれ、工具の使い方や組み立て方を一工程ずつ確認しながら、1チームで2台作ります。最初は電動ドリルを握ったことがなかった、という参加者も、いざ2台目を作る頃にはお手の物。石巻工房と「OPEN!FURNITURE」の焼印を押し、チームで制作したものにはそれぞれのサインを入れて、完成させました。

チームで協力してベンチを制作。座面が平らになるように調整しています


制作後は早速協力先へ設置しに行きます。一部のベンチは、制作者から協力先の方へと顔の見える形で直接受け渡すことができました。芝浦エリアと三田エリアで合計22台のベンチを設置しました。

制作した家具を各設置場所へみんなで届けに行きました

OPEN!SUMMIT [11.8]

ベンチが置かれた後実際にどんな反応があったか、プロジェクト全体を振り返ると同時に、まちに対して今後、どのような施策や取り組みがあったら良いかを話し合いました。

実際に使っている人に偶然お会いする機会も。「助かってます!」とのこと。
芝の家の縁側でこどもたちが遊んでいる様子

 大きな気づきとしては、「公共性」をテーマとしていながらも、今回ベンチを設置できたのは全て私有地で、許可や責任などの問題から実際は公共空間や公開空地には置けないという矛盾。(バス停の前に待つことのできるベンチが欲しい、というニーズはあるけれども、公道に置くのは難しく、実際は公道を挟んだ私有地にベンチを置くことになった例など)パブリックとプライベートの間にある境界線を曖昧にするようなデザイン・都市計画の必要性を実感しました。

 現場で感じた難しさを共有していくうちに、なぜそのような制限があるのかを辿っていくと、日本の広場は特に1960年代の安保闘争の影響で場所や建物を占拠した歴史があるので、大勢が集まれないよう意図的に細分化してデザインしているといった政治的な背景も明らかになっていきます。そうした経緯を理解した上で、改めて市民がまちにどう関わっていくかを考えていく必要がありそうです。

参加者からも地域の人々で独自に境界線を越えていくような仕組みを作った事例や、長期的変化を戦略的に見据えた短期な社会実験=タクティカルアーバニズム(ゲリラアーバニズムの)の国内外の事例を紹介していただき、来年のプロジェクトに活かせそうなアイデアやヒントを得ることができました。

OPEN!FURNITUREのWEBサイトはこちら