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nl/minato_メディア「ジャーナリズムが語るもの、引き出すもの」

BY 横田純一

2018年11月25日(土)にnl/minatoのメディアプログラムとして、オランダから女性5人組のジャーナリスト集団 ’’Bureau Boven’’のメンバーと、彼らが関わるIRON CURTAIN PROJECT*のディレクターを招聘して、トークイベント「ジャーナリズムが語るもの、引き出すもの」を開催しました。Bureau Bovenは、メンバー各々が個人の仕事を抱えながらもプロジェクトによって協働するスタイルで活動し、社会運動にまつわるストーリーを取材の主軸としながら、読者に対してもアクションを促し、人々の中で議論を起こします。11月27日(月)-29日(水)には彼らが手がけるプロジェクトの一環として、Pop-up Museum 「I’m So Angry(I Made a Sign)ー革命と抗議について」を展開し、彼らのメソッドやストーリーを体験しました。

Bureau Bovenトークイベント〜あなたは何に怒っている?〜

トークイベントでは、Bureau Bovenのプレゼンテーションの前に、nl/minatoインターンが2つのグループに別れ、日本のメディアとデモについて調査発表をしました。

グループ1は日本で活躍する特徴的なメディアを発表しました。「家族留学」を提供する「manma」やハンディキャップを広義で捉える「プラスハンディキャップ」などのメディアを紹介しました。メディアやジャーナリズムにおいて、情報を提示するだけではなく(空間やインターネット上で)議論する場を提供するメディアがでてきたということ、紹介した各メディアは手法は様々ですが、独自性を高めていて自らの立ち位置やコンテンツをつくり上げてきていることが分かりました。

グループ2は「新しいデモのかたち」という題で、既成概念に囚われない「デモ」の可能性について発表しました。デモとは「この社会問題を変えたい」と思う起案者が支援者を集め、改革実行者(政府など)に訴え、実行者が社会問題を解決する、という構図で捉えられるあると図を用いてわかりやすく説明していました。そのように概念的にデモを捉えると、デモとはいわゆる集団で行進して改革を訴えるものだけでないことがわかりました。

デモの構造について考察するインターングループ2の横田純一さん、川口凛太朗さん

「体験する」ジャーナリズム

「これから紹介することはジャーナリズムとは思えないかもしれない」という出だしで、Bureau Bovenのプレゼンテーションが始まりました。
まず、彼女たちはBureau Bovenの起源について語りました。それは、オランダでは伝統的な新聞メディアがオンラインメディアに負けてしまい、ニュースが深堀りされずに社会に届いてしまうことを危惧したからだと言いました。筆者は日本も同じような状態だと感じました。つまり、日本でも人々の情報源は新聞などの伝統的メディアではなく、オンラインメディアになっています。オンラインメディアは大量の記事を読者に提供するため、そのぶん記事の質は落ちてしまっていると思います。

そして、「Iron Curtain Project」についての話が始まりました。1989年のベルリンの壁の崩壊、それは当時のヨーロッパの人々の記憶に鮮明に残りました。当時9歳だったコラウさんも例外ではなく、彼女は幼いながらに歴史が変わる瞬間を目撃したという意識を持ち、ジャーナリストを志すきっかけになったそうです。
その25年後にバスツアーを行い、プロジェクトが始まりました。そのプロジェクトではアムステルダムからヘルムシュテットマリーエンボルンにある元検問所までのバス移動の間、お互いに個人の記憶を共有し、過去と現在を繋ぐことを目指したそうです。

バスツアーで自らアテンドするコラウさん

そして難民問題や政治家の汚職などが発生している現在は、様々な世代の求めていることを知りたいと思い「I’m So Angry ポップアップミュージアム 」を開催しています。デザイナーのタイル・アッケマンスさんを交え、エストニア、ハンガリー、ルーマニアなどヨーロッパ各地でブースを作りました。日本滞在中にもポップアップミュージアムを開催し、50人近くのストーリーを集めました。

筆者の印象に残ったことは、Bureau Bovenが人々の内にある感情を引き出すために様々な工夫をしていることです。例えばチェコでのプロジェクトで、彼女たちはあらかじめリサーチをし、人々が突然「個人談を話して」と言われても大丈夫なようにしているとのことでした。また後半のトークセッションでは、「「あなたは何に怒っている?」と聞いて「怒っていることは何もない」と言われたら「あなたは何を変えたいと思う?」」というように質問を変えることで言葉を引き出していると話しました。

「通常、ジャーナリストは反響を聞くことができないが、このプロジェクトを通して直接的に体験できている」その言葉が、実際に人々とコミュニケーションを通じて内部の感情を引き出すBureau Bovenの姿を端的に表していました。