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「女の子」きらい

BY 田代奈央

On being seen…見られることについて

「女の子」と言ったときに想像されるイメージがきらいなのは、自分の中の、そのイメージに当 てはまらない部分を否定されているような気がして傷つくからです。nl/minatoでは、そんなイ メージー性別に与えられた社会的な役割(ジェンダー)について、話し合う機会を持ちたいと 思ったからでした。 可愛いことが一番重要に思えた高校生の時期は、ジェンダーについて意識的に考えるように なった時期でもありました。24になった今でもはっきりと覚えているのは、高校生になって初 めて彼氏ができたとき、別の課に所属していた彼の友人たちが、品定めでもするかのように教 室まで私を見に来たときのことです。赤の他人から自分の顔かたち、身体に関するコメントを 聞いたときは、それが否定的なものであるときはもちろんのこと、肯定的なものであっても、 自分がモノになったかような不快な感覚をおぼえました。可愛いことが重要だと思ってきたの は、自分が可愛くありたいからというだけでなく、そうでないと女性としての価値を周囲に認 めてもらえないと、無意識的に考えていたからなのかもしれません。女性であることを窮屈に 感じるようになりました。

On un-education…自分で自分を教育しなおすこと

可愛くて(細くて、目が大きくて…)、愛想が良く、家庭的で、従順な「女の子」との葛藤は、多く の女性が経験してきたことではないでしょうか。nl/minatoのテーマは共生社会(Inclusive Society)ですが、私がInclusive Societyと聞いて想像するのは、社会的に与えられた女性像にあ てはまらない女性も含め、すべての女性が、自分の居場所があると感じる社会です。

オランダの量販店の化粧品売り場で。ダークトーンからペールトーンまで、幅広い色のファ
ンデーションの展開。美の多様性を感じさせる。

11月にプロジェクトメンバーと共にジェンダーやLGBTQのトピックを扱ったワークショップを 開きますが、そのワークショップが、これまで教えられてきたあるべき女性像、男性像を問い 直すきっかけだったり、自分で自分を教育しなおす機会になったらいいなと思います。そんな ワークショップにするために何が重要かということを学び、また、自分のジェンダーへの理解 を深めたいとの思いを胸に、片道30時間かけてアムステルダムを訪れました。

Be relevant…自分の問題として考える

イェンス・ファン・トリヒトさんは、男性性についての考え方ー家父長制的な考え方を変えることで、男女平等 な社会を目指す、Emancipatorという団体のリーダーです。

ファン・トリヒトさん。昨年のnl/minatoのパンフレットと一緒に。

家父長制的な考え方の弊害は多岐にわたります。例えば、男性が一家の稼ぎ頭であるべきで、女性は家庭にいるべき、という考えは、本当は仕事だけでなく家族との時間をもっと多くとりたい男性にとっては有害です。彼は男女平等が進んで女性が働きやすい社会になることで、恩恵を受ける男性の一例です。

Emancipatorのワークショップ、またファン・トリヒトさんへのインタビューを通して、個々人が社会 的な課題を自分に関係のある問題として捉えることは、課題の解決の為に重要な要因のひとつ なのだろうという考えにいたりました。ファン・トリヒトさんとも話したのですが、現状、ジェンダーを女性のためのトピックだと考えたり、男女平等というと男性嫌悪として捉えたりして、 自分は無関係だと考えたり、反感さえ示したりする男性は少なくないようです。ですが、男女 間の不平等が実際男性にも不利益を与えてるのを伝えることで、自分に関係のある問題として 真剣に考えることになるはずです。ワークショップでは身近な事例を挙げることで、トピック に親しみを持ってもらうことから始めたいと思います。

Be Real …安心して話し合える環境づくり

Sex mattersは、学校などに出向いて、若者を対象に性やジェンダーに関するワークショップを している団体です。今回は実際に彼らのワークショップに参加することができました。印象的 だったのは、その内容のオープンさです。AVを見るか、同性に惹かれるか、など、初対面の人 にとは話さないであろう話題が飛び交いました。ですが、そうしたトピックに対してもあまり違和感なく話し合うことができたのは、彼ら自身から進んで本音を出していくことで、正直に話して大丈夫と思えるような、安心できる環境をつくり出していたからだと思います。

Sex mattersのワークショップの風景。輪になって話し合った。

日本では性に関する話題がタブーという風潮があるように思えるのは、性教育が性行為ではなく性器の話に終始することからも、私の感覚だけでなく事実だと思われます。だからこそ、私たちがワークショップを開く際は、こうした環境づくりには力を入れたいと思いました。

Be Righteous…正しいことをする

以上の2点がワークショップを開くにあたって気をつけたい点ですが、個人的な学びとして挙 げたいのが、私たちは正しいことをしなくてはならないという点です。
ファン・トリヒトさんに1対1でのインタビューをしたとき、Political is personal(政治的なことは個人的なこと)という話題が挙がりました。そのとき私は、自分は個人的にジェンダーの問題に取り組んでいても、政治的にアプローチ出来ていないと言ったのですが、ファン・トリヒトさんは、小さなレベル でも、行動することが重要だとアドバイスをくれました。例えば職場で性差別的な冗談に笑わ ないこと。それが許されない冗談だと発言すること。 社会人2年目になりますが、それが決して簡単にできることではないことを実感しています。「 女の子」であることの要求を感じて、それに迎合してしまうとき、罪悪感と、仕事なんだししょ うがないという気持ちとがない混ぜになって、すごくもやっとします。ですが、ファン・トリヒトさんだけでなく、訪問した様々な団体の人たちが自分が信じることに向かって行動している姿を見て、嫌な気持ちをなかったことにしないで、向き合わなくてはと改めて思いました。

田代奈央
都内IT企業勤務。大学在学中にオランダに1年間留学し、哲学と宗教学を学ぶ。現在はキリスト 教神学を勉強中。